シンポジウム

基調シンポジウム

日時 11月4日 8:30-11:30

Evolutionary demography: the dynamic and broad intersection of ecology and evolution

企画者:高田壮則(北大・地球環境)、Richard Shefferson(東大・教養)

 Demography という英単語はよく「人口統計学」と訳されますが、生物学では一般の生物集団の統計データを扱う学問を指す言葉として使われます。ですから、このシンポジウムタイトル、”Evolutionary demography”、は日本語に訳しにくいものですが、あえて表現すると、「生活史パラメーターの進化的説明を試みる学問」となるでしょうか。生態学の文脈では集団動態のパラメーターとみなされていた生物集団統計が、進化学の文脈ではどのように解釈されるのか?生物集団統計が多数種、多年にわたり集積されると生物のどのような姿が見えてくるのか?このシンポジウムでは、Evolutionary demographyの潮流を紹介するために、動植物、人間の生物集団統計を扱った最新の理論・応用研究を紹介します。

講演者・タイトル

  1. Takenori Takada (Hokkaido University, Japan)
    Introduction: Long and winding road from demography to evolution
  2. Roberto Salguero-Gómez (University of Sheffield, UK)
    The diversifiers of life history strategies in plants and animals
  3. Hiroyuki Yokomizo (National Institute for Environmental Studies, Japan)
    The influence of time since introduction on the population growth of invasive species and the consequences for management
  4. Masahito Morita (Kyoto University, Japan)
    Evolutionary approaches to human demography: case studies on fertility decline
  5. Richard Shefferson (University of Tokyo, Japan)
    Eco-evolutionary conservation: managing a changing landscape in an evolutionary demographic context

企画シンポジウム

日時 11月5日 8:30-11:30

New horizons in time series analyses

企画者 山中武彦(農研機構・農環セ)・川津 一隆(龍谷大学)

 近年、汎用のコンピューターが猛烈に高性能になり、膨大な反復計算が可能になったため、誰でも気軽に高度で現代的な時系列解析を手元で行うことが出来るようになりました。例えば、ベイズ推定を利用した状態空間モデルを使えば、外的なノイズを内的な制御メカニズムから切り出して評価することが出来ます。 

 EDM(Empirical Dynamic Modeling)というアプローチを使えば、複数の時系列間の因果関係や種間相互作用の強さを評価することが出来ます。また空間・時間相関解析でもフレキシブルな非線形回帰を組み込むことで、これまで定量化することが困難だった空間同調性を評価できるようになりました。

 本シンポジウムでは国内外の時系列解析の専門家をお招きして最新の研究を紹介していただき、実際のデータをどのように解析することができるか実演してもらいます。それぞれの講演を通じて、大学院生や初学者に、時系列解析の歴史的な経緯を知っていただくと同時に、時系列データを収集したもののどのような解析がふさわしいか困っている研究者の一助になれば幸いです。

講演者・タイトル

  1. Takehiko YAMANAKA (NIAES, JP), Takehisa Yamakita, Yutaka Osada, Etsuko Shoda-Kagaya, Andrew M. Liebhold
    "Introduction + Allee effect in pine wilt disease"
  2. Derek M. Johnson (Virginia Commonwealth University, USA)
    "A Bayesian approach to quantifying spatial variation in Allee effects”
  3. Andrew M. Liebhold (USFS, USA) & Maartje Klapwijk
    "Transient synchrony among populations of foliage feeding Lepidoptera"
  4. Kazutaka Kawatsu (Ryukoku University, Japan) & Shigeki Kishi
    "Identifying critical interactions in complex competition dynamics between bean beetles"